空き家活用塾1回目「空き家を活用して楽しく暮らす+丹波市の空き家」開催レポート

TAMBA地域づくり大学
実践講座が続々と始まっていきます!

実践講座はどれも昨年に引き続きの講座です。

空き家活用塾もパワーアップ!
今年度は出町さんとミミさんのダブルコーディネーターです。

まずはこの数字から、何の数字でしょうか?

ズバリ、全国の空き家の数!
これは平成25年のもので、5年に1回新しいデータが出るそうです。
そして、なんと平成20年から25年の間に63万戸もの空き家が増えているのだとか

これだけ増えている空き家、全国で課題として捉えられています。

昨年度の講座では、これらの空き家を資源として
活用する方法をみんなで考えました。

今年度は、もう1歩手前から
空き家を資源にするにはどうしたらよいか
空き家をいろんな立場の視点から見て
空き家の価値を考えます。

まずは行政の視点から
丹波市建設部住まいづくり課の前川課長に
空き家に関する丹波市の現状
これまでの取り組み、今後の取り組みを
お話いただきます。

平成27年度の実態調査で
丹波市の空き家の数は、倉庫や離れも含めて2716棟
戸数でいうと1753戸だそうです。

これらを放置すると
安全面(瓦が落ちたり、倒壊したり)
衛生面(草が生えて虫が出たり、動物が住み着いたり)
防犯面(不審者の侵入や家事など)
などで問題が出てきます。
それに景観も失われてしまいます。

青垣の家の息子さんや娘さんが
氷上や柏原など、市街地に新築を建て
青垣の家は、親御さんが亡くなると空き家になってしまう。

空き家はますます増えていくことが予想されます。

平成26年度までは各課で個別に対応していた空き家の問題
平成27年度から住まいづくり課が新設され
発生予防、適正管理、利活用、管理保全の面において
対策を行なっているそうです。

今ある空き家が不動産など流通に乗っていないことを課題に感じ
空き家バンクの「住まいるバンク」を設置しました。

今後は、農泊や空き家と利用業者をつなぐ中間支援組織の仕組みも考えているとのこと。
このような空き家一件だけでなく
地域全体を考えた取り組みを行ってる丹波市は行政としては先駆的なように感じます。

お次は、地域おこし協力隊として
空き家の利活用による地域の活性化や
移住の促進を行なっている
中川ミミさんより、住まいるバンクの視点から

住まいるバンクはWebサイト上で物件を紹介している空き家バンク。
空き家の所有者さん、入居希望者さん、そして地域の三者が
お互いに良い関係を築けるよう1件1件マッチングを行なっています。

ミミさんは住まいるバンク設立から携わり
これまで活動する中で感じて来た点を、いくつかお話くださいました。

空き家の所有者さんは最初
「こんな古い家誰が借りてくれるんや」
と悲観的な様子が見受けられることがあるそうです。

でも「この古さがいい」「この施工は今はない」と
具体的な良さを見つけて都会から若い人が入ってくれると、
代々受け継いで来た家を壊さずに
家も地域も魅力的に感じてもらえることを
すごく誇りに思ってくれるのだとか。

それから、住まいるバンクの利用登録者の大多数が
賃貸希望なのに対し、登録物件は約80%が売買物件!

物件は気に入ったけど
「移住していきなり家を買うのはハードルが高い」
と思ってる入居希望者さんに対し、所有者さんは
「どうしても売りたい」
残念ながら契約が流れてしまうケースがあるそうです。

また、空き家は誰のもの?
との問いかけから、
雪害や老朽で改修の必要が出た空き家の管理責任は
基本的には所有者さんにあること。

空き家を資源化するために
価値を考える際のキーワードとして
「手遅れ」
という言葉を挙げてくださいました。

最後に出町さんより、地域側の視点から

出町さんたちが行なっている佐治倶楽部では
地域が楽しく元気になるために空き家の活用を行なっています。

その中で感じてきた空き家の価値をご紹介いただきました。

空き家の活用方法を考えることは地域の未来を考える場になる!

地域で空き家の活用方法を考えるワークショップをすると
地域の暮らしの中で、どんな場所があれば楽しいかという話になるそうです。

自治会で地域づくり計画なんかを策定するときは
空き家について考えてみても面白いかも

空き家を使うと、場所を求める人たちに居場所ができる!

コンサートみたいな演奏会をしたいとか
茶道教室がしたいなんてとき
何万円も出してテナントを借りるのも
公民館の会議室でやるのもなんか違う。。

そんな場面は意外とよくあり、場所ができれば人が使うようになる

ないものを空き家を使って自分たちで作る!

ドラッグストアもお洒落なカフェも
都会にしかないのではなく
空き家があるから自分たちでできる。

最初の空き家活用は
佐治のまちの軒先にはみんな同じ花が並ぶというお困りごとを
空き家を使って面白い花を売る花屋さんにしたそうです。

そうすると普段は人気のないまちにも人が出てくる。

空き家を改修する過程で価値が生まれる!

空き家改修ワークショップを行うと
各地から学生やいろんな人が20人くらい集まるそうです。

その中で繋がりが生まれたり
丹波の魅力を感じて移住してしまったり
なんてこともあるのだとか。

観光地は意外と空き家の活用事例が多い!

長野市の門前町や広島県の尾道など
町内会の旅行では空き家活用事例の視察を組み込むのもいいのでは。

それから活用の視点だけでなく
管理も楽しくできないかと考えているそうです。

とりあえず、空き家を使ってみるということで
空き家キャンプ!

佐治倶楽部では、空き家見学会をしたり
キヌイチや佐治BARで地元の食材と空き家を組み合わせたり
定期的に人が集まる仕組みを行なっています。

これがだんだん増えていって、毎日のようになれば地域が元気になる。
その可能性が空き家にはあると話します。

後半はテーブルトーク

空き家が増えることでできること
空き家をとりまく問題など
みんなで話します。

草木の管理、人がいなくて淋しくなったり、夜真っ暗
心霊スポットになったり、不良の溜まり場になったり、、、
車のリースの用に家もリース料を頭金に買取や
空き家管理をパッケージ化して所有者さんに提供しては?
なんて声もありました。

海外では既存の建物をリノベーションして暮らすことが普通。
日本ほど新築を建てる国は珍しいそうです。

住まなくなっても空き家を手放せないという心理面、地域性や財政的な事情など、様々な理由があるようですが、
資源として価値があるうちに空き家をどんどん人に使ってもらうという意識をどれだけ浸透させられるか

空き家活用は難しく考えず、とりあえず使ってみるという気持ちで行うのがよいのかもしれません。

所有者も困っている場合が多く、資源にしたくても資源の仕方がわからない。
活用すれば資源となる空き家
「手遅れ」にならないように
みんなでより良い案を考えていけるような講座になればと思います。